NECのリコールにみるモノづくりの大切さと崩壊

PC・タブレット

2022年2月4日にNEC(日本電気株式会社)が販売済みのChromebookのリコールを発表しました。

NECは誰もが知る日本のパソコンメーカーで日本のパソコン市場を牽引してきた存在です。

今回、リコールの対象になったのは主に教育向けのGIGAスクールに合わせて設計・製造された製品です。

発端

2021年10月21日に川崎市の小学校で授業中に児童が机の上に置いていた端末のUSB等差込口部分から白煙 が上がった。教室内の児童は別室へ避難した。煙が収まったとこ ろで担任が端末を開けたところ、本体の一部が溶けていた。
児童や教員に火傷や怪我はなかったとのこと。

原因

川崎市は運搬中などにおける落下により、強う衝撃が加わったためと説明し、詳細はメーカーで調査を行うと発表をした。

NECで調査をした結果、製造工程の不備による余分なネジの混入が原因と発表

余分なネジが内部に滞留し、何かのタイミングでバッテリーパックに穴を開けてしまい、発煙となった。

製造工程での不良とは

例えば、製造(組み立て)工程において、1台の組み立てに10本のネジを使うのに11本を消費してしまった、もしくは10ヶ所に使うネジを9ヶ所にしか使っていない。ということがあったのだろうと推測される。

このミスはよくあるのか?という疑問が出るが、よくあってはいけないので必ず対策をおこなっているはずであるが、対策が講じられていなかったのだろう。

対策とは

どんな対策があるのか?

  1. SOP(作業員への作業指示書)に使う本数と使い方、順番等を記載
  2. 使う本数を小分けパックにする
  3. 組み立て後に重さを測る
  4. ネジ穴を見やすくする

1.作業指示書には正しく記載することが絶対的ではあるが、1台づつの組み立て工程で作業指示書を読んで作業をしていたら、生産能力が下がるので、慣れてきたら作業員は惰性で作業をすることになる。

2.使う本数を小分けにすることで、多くネジを使うことは防げるので、内部に多くネジが使われることはなくなる。

3.ネジは軽いものなので、重さを測ることによる今回の対策にはならない。

4.ネジがついていない部分を目立たせることにより、誰が見てもネジがついていない場所を判別するようにする。

対策としては、こんな感じであろう。

なぜ対策がされていなかったのか?

これは公開情報ではないので、憶測にすぎないが。

NECパーソナルコンピューターの製造委託先が中国のレノボの指定工場でこの工場の日本流の生産管理や監査ができない関係性になっていると推測されます。

つまり、NECのブランドで製品を作っているものの、生産の工程管理などは全てレノボ基準で行われ、レノボの基準により、NECではあり得ないミスがあったのだと思います。

日本のモノづくりの崩壊

話は長くなったが、日本のモノづくりが既に超がつく大手メーカーですら崩壊し始めたことが露呈された。

日本の生産管理やモノづくりは生産工程で起きたトラブルをノウハウ化し、次に同じトラブルがないように対策を施し、モノを作れば、作るほど品質が高くなるような努力を何十年もの間にやってきた。

でも、このような形で他社製造における生産工程ミスで全ての信用を失うことになる。

それをあえて選択をせざるを得ない環境が日本の超大手メーカーにもあることが、日本のモノづくりの崩壊と言えるだろう。

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